「膝が痛いから、もう運動はやめたほうがいい」。変形性膝関節症と診断された方から、よくうかがう言葉です。けれど、付き合い方しだいで、運動を続けることはできます。理学療法士の視点から、膝の痛みと向き合いながらからだを動かし続けるための考え方を整理します。お身体の状態には個人差があり、痛みが強いときは医療機関の受診をおすすめします。
変形性膝関節症とは、どんな状態か
変形性膝関節症は、膝の関節軟骨が少しずつすり減り、関節の変形や痛み、動かしにくさが生じる状態です。年齢を重ねるほど起こりやすく、要支援・要介護の原因となる運動器の問題のひとつとして知られています。
立ち上がりや階段の上り下りで痛みを感じる、動き始めに膝がこわばる、といったサインが現れることがあります。気になる症状があるときは、まず整形外科で診断を受けることが大切です。
「痛いから動かさない」がつくる悪循環
痛みがあると、つい膝をかばって動かさなくなります。ところが動かさない時間が続くと、膝まわりの筋力が落ち、関節を支える力が弱まってしまいます。
支える力が弱まると、かえって膝への負担が増え、痛みが出やすくなる——この悪循環が、症状の長期化につながることがあります。だからこそ「動かさない」のではなく「負担をかけずに動かす」工夫が大切になります。

痛みと付き合いながら運動を続ける考え方
まずは、いまの状態を評価する
同じ「膝の痛み」でも、原因や負担のかかり方は一人ひとり違います。姿勢や歩き方、股関節や足首の動きまで含めて評価することで、膝だけに頼らない動き方が見えてきます。
膝に負担をかけにくい動き方を覚える
太ももの前側(大腿四頭筋)やお尻の筋肉がしっかり働くと、膝関節への負担をやわらげることが期待されます。重い負荷をかける前に、痛みのない範囲でていねいに動かすことから始めます。
自宅でできるセルフケアの一例
ここでは一般的な例を紹介します。痛みの状態には個人差があるため、実際に行う際は医師や専門家に相談し、痛みが出ない範囲で無理なく行ってください。
- 椅子に座り、片脚をゆっくり前に伸ばして数秒キープする(太もも前の運動)
- あおむけで膝の下にタオルを置き、軽く押しつぶすように力を入れる
- 痛みの少ない範囲での、平らな道でのウォーキング
- 入浴などでからだを温めてから、ゆっくり動かす
「続ける」ために、いちばん大切なこと
運動は、一度がんばることよりも、無理なく続けることのほうがずっと大切です。痛みと相談しながら強度を調整し、その日の体調に合わせて量を変えていく。続けられる形を見つけることが、結果的に近道になります。
BE FITでは、理学療法士がお身体を評価したうえで、膝に負担をかけにくいメニューを一緒に組み立てます。「痛いから動けない」を「痛みと付き合いながら動ける」へ。その伴走をさせていただきます。
まとめ
変形性膝関節症は、動かさないことでかえって負担が増えることがあります。大切なのは、いまの状態を正しく評価し、負担をかけにくい動き方で無理なく続けること。痛みが強いときは医療機関に相談しながら、自分のペースでからだを動かし続けていきましょう。

理学療法士・NSCA JAPAN 正会員
小崎 俊季


